過払い金返還請求の時効

最高裁は平成21年1月22日、利息返還請求における時効の起算点について初の判断を下した。
個別の返済時から時効が始まるとの業者側の主張に対し、基本契約における過払い金充当合意がある場合は、時効の起算点は完済時になるとしたもの。
返還請求を受ける業者の返還額が急増することが容易に予想できる。
また、返還請求の掘り起こしも積極化されることから、消費者金融業界側への影響は計り知れないものがある。
この判決の上告人は、東日本信販で、一審・二審とも「時効の起算点は完済時」と判断されていたことに対して争っていたもの。
同様の裁判はキャッシング大手のプロミスでもあり、これは二審でプロミス側の主張を取り入れられたことに対し、相手側が上告した二つの裁判について、1月19日、1月20日に最高裁での口頭弁論が行われていた。
しかし、22日の判決により、プロミスの裁判においても同様の内容になるのは間違いないこととなった。
これまでの利息返還請求事件における最高裁判決は、要件解釈による任意性否定や、複数貸付がある場合に互いに過払い金充当ができるかといったものに対する判示が行われていた。
その中で、昨今業界側が個別の返還請求事件について争い、下級審で判断が分かれていたのが時効の問題となる。

包括契約(いわゆるリボルビング契約)の場合、基本契約が解約されない限り、一度は借入を完済しても、その後いつでも自由に新たな借入をすることができる。
この為、基本契約が生きている限り時効は発生しないとなると、長期間取引を行っていた顧客(途中で取引が止まっている場合も含む)の過払い金は、新規契約時に遡って計算されることになり、返還金は高額化する。出資法上限金利が29.2%になった2000年6月以前の金利水準ならば、さらに返還金負担は高まる。
時効の起算点がいつになるかということは、消費者金融業界からすれば返還金負担を少しでも減らしたいということから重要であり、争点とされてきたものだった。
だが、今回最高裁は「期本契約による過払い金充当合意」がある場合は、「取引が終了した時点から」消滅時効が進行する、として消費者金融業界側の主張を退けた。「取引が終了した」といっても、包括契約の場合は解約をしない限り終了しないことになり、現実的には返還請求をすることにより初めて「取引終了時」が確定すると言ってもいい(すなわち、返還請求をする前の完済時点
この判決による影響は「長期間に亘る取引のあるものについては返還金額が高額化するが、全体からすれば一部にすぎない」(大手キャッシング会社)とする見方もある一方で、「この判決により利息返還請求充当金の計上方法について見直しが行わなければ、体力のないところは経営の危機につながる可能性もある」と厳しい見方もある。
沖縄のオークス・北海道の日商連釧路など地方信販会社の破綻要因が、この利息返還引当金にあったことを考えても、今後も「引当金倒産」が起こる可能性を増すことになる。

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